00年代カルト映画⑦ ぼくのエリ 200歳の少女 Let the Right One In

 

 

10年前に、ミニシアター系の映画館で妙にインパクトのあるタイトルのチラシやポスターを頻繁に見かけたことを思い出しました。

 

Le titre japonais du “Let the Right One In” ne correspond pas au contenu du film.

 

The Japanese title of “Let the Right One In” does not match the content of the movie.

 



 

内容はなんだかすっごく怖いと評判らしいのですが、タイトルはなんじゃそりゃあ?と言いたくなるようなギャップのあるものでした。

『ぼくのエリ 200歳の少女』

この邦題はカルト映画の中でも妙ちくりんな、バス男とはまた違った違和感を放っています。

邦題のせいなのかなんなのか当時あまり観る気が起きず、最近まで観たいとも思いませんでした。

スウェーデンのスティーヴン・キングといわれるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストによる2004年の小説『MORSE -モールス-』を、原作者自ら脚本家した作品です。

原題の意味は、“正しき者を招き入れよ”というようなニュアンスだそうです。

深いな~ 原題は。。。

 

エリという謎の女の子に少年オスカーが引き寄せられていく話なのですが、

ポスターの写真から、ずーっと、金髪の子がエリだと思い込んでいましたw

そしてどうやらこの邦題自体、映画の内容と違っているようです。

 

オスカーは学校でいじめに遭っている孤独な少年ですが、ある日自宅の隣にエリの親子が引っ越してきます。

エリと壁伝いにモールス信号を使ってあれこれ話をしながら自分を変えようとしますが、オスカーの家の周辺でグロテスクな殺人事件が相次ぎます。

そしてだんだんエリという存在が少女ではないことを知ってゆくのですが・・・

邦題はその内容を全く偽ったものですね。

あとこの映画の日本版では、エリが着替えているときにたまたまオスカーが見たエリの下半身にぼかしが入ることも問題視されています。

エリの下半身に傷があることが物語の重要な鍵なのでぼかしを入れるべきではないのですが、入っていることで別の意味になってしまっています。

 

オスカー役のカーレ・ ヘーデブラント(Kåre Hedebrant)は当時13歳ですが、とても北欧らしい容貌で、雪や氷、水の中にいるとその瞳、髪の色、白肌の透明感がより神秘的な印象を醸し出します。

エリ役のリーナ・レアンデション(Lina Leandersson)も同い年で、イランの血が入っていることもあり、黒髪でやや浅黒く中東系の顔立ちをしています。

二人とも中性的であり、見た目は対照的ながら、それがこの映画の癖のある映像とプロットを引き立てています。

真っ白な雪や森林や庭の緑、湖の氷、夜の空気、プールの水や血の濃厚さ・・・思わずうひゃー。。と思うシーンもありましたが、全体にハリウッド映画では出せないような独特の味があります。

オスカーやエリの家のインテリアや学校の内装にも目が行ってしまいます。

 

最大の問題は日本版なんでしょうね。

“ぼくの○○”なんて、なんだかオタクっぽい響きじゃないですか。

ぼくのマリーじゃないんだから。

エリって日本人にもいる名前だから余計そう感じる。

そして少女じゃないし。

200歳という言葉から、魔女とか老婆が出てくるのかなと思いましたが。

おまけに股間にぼかしを入れてしまって嫌らしい演出に見えてしまっています。

・・・ということで散々言われているように、日本版はとても損をしています。

 

この映画を2010年にハリウッドリメイクした『モールス』(Let Me In)は、ストーリーは全く同じなのですがスウェーデン版とは全く違った雰囲気に仕上がっており、ただダークなだけの映画という印象で、生々しさも低く、オスカー(オーウェン)役もカーレ・ ヘーデブラントのような中性的な透明感のないごく普通の少年で、クロエ・グレース・モレッツのエリ(アビー)もアイドルっぽくてミステリアスさが薄く、豹変するシーンの顔も作り物っぽいので本家本元の癖の強さには敵いません。

ぼくのエリがPG12でモールスがPG15のようですけど、逆の方が相応しく思えます。

やっぱり映画の怖さっていうのはアクションよりも雰囲気や演出で決まるのでしょうね。

 

サントラは、スウェーデンの映画評論家で作曲家のヨハン・セデルクヴィスト(Johan Söderqvist)が担当しています。

清らかなクラシック調の曲ですがドラマチックな感じもする、何より北欧の静謐さを味わえるようなサントラです。なんとなく白夜をイメージさせるような。

 

 

他に映画の中では、スウェーデンのバンド“ロクセット”のメンバーである

ペール・ゲッスル(Per Håkan Gessle)

「Kvar I Min Bil」(クヴァル・イ・ミンビル)

 

スウェーデンのシンガーソングライターでポップグループのABBAのメンバーである、アグネッタ・フォルツコグ(Agnetha Åse Fältskog)

“Försonade”

 

やはり、スウェーデンといえば?ABBAですね🇸🇪

しかし再生回数4.1億回って((((゜д゜;))))

 

ドイツ・ハンブルクのゴシックメタルバンド、

ロード・オブ・ザ・ロスト(Lord of the Lost)

“Cut Me Out”

 

ロシアのTimur Shafievによるトランス、

“Seductive Movement”

 

 

「モールス」の方のサントラは、『カールじいさんの空飛ぶ家』(Up)等数多くの映画音楽を作曲しているアメリカのマイケル・ジアッキーノ(Michael Giacchino)によるものですが、

 

オーウェンとアビーが雑貨屋に入るシーンではカルチャークラブ(Culture Club)がかかってました。

 

他にアメリカのロックバンド、

ブルー・オイスター・カルト(Blue Öyster Cult)

「バーニング・フォー・ユー」(Burnin’ For You)

 

C’prime“Field Trip”

 

などが流れています。

 

 

邦題と日本版とハリウッドリメイク版との話題が入り乱れましたが、スウェーデン版の“Let the Right One”は間違いなく強烈な個性を放つ北欧ホラーと言えます。

 


 

 

ぼくのエリ 200歳の少女

LAT DEN RATTE KOMMA IN/LET THE RIGHT ONE IN

2008年 スウェーデン 115分

監督 トーマス・アルフレッドソン

キャスト

カーレ・ヘーデブラント(オスカー)、リーナ・レアンデション(エリ)、ペール・ラグナル(ホーカン)、ペーテル・カールベリ(ラッケ)、イーカ・ノード(ヴィルギニア)、カーリン・ベリ(イヴォンヌ)

内容(あらすじ)

ストックホルムで母親と二人暮らしのオスカー12歳は、学校でいじめられており、常に孤独感を感じていた。ある晩彼は、隣の部屋に引っ越してきた少女エリに出会う。ちょうどその頃、近隣では人が逆さ吊りで喉を切り裂かれ、血を抜かれるという猟奇的な殺人事件が起きていた。