フランス映画の誕生① リュミエール[Lumière] ジョルジュ・メリエス[Méliès] 🌙月世界旅行

 

フランス映画の誕生から現在に至るまでを、その時代を代表する作品を取り上げて定期的に解説していきたいと思います。

 

Les frères Lumière sont des inventeurs de films français aux côtés d’Edison, et Georges Méliès est le premier réalisateur professionnel au monde.

 

The Lumière brothers are French film inventors alongside Edison, and    Georges Méliès is the world’s first professional film director.

 



 

まず最初に紹介するのはリュミエール兄弟(Auguste Marie Louis Lumière,Louis Jean Lumière)です。

1895年12月、世界初の映画がフランスのパリで公開されました。

それ以前にも19世紀から様々な人達によって映画が研究されてきましたが、まず1893年にアメリカの発明家トーマス・エジソン(Thomas Edison)が、キネトスコープ(映写機)を一般公開しました。

キネトスコープは、一人一人が立ったまま小さい機械の中をのぞき込んで映像を観るという物でした。

大勢の人が集まって大きなスクリーンで観る形式であるシネマトグラフを発明した人物、それがフランスのリュミエール兄弟です。

リュミエール兄弟は自分達の工場の近辺で撮影を行い、人々に有料で公開していました。

その中で生まれた世界最初の映画が『工場の出口』(La Sortie de l’usine Lumière à Lyon)です。

 

 

工場の労働者達がリュミエール兄弟の経営する工場から出てくる様子を撮っただけの46秒の映画ですね。

今の時代に何も知らずに観ると、映画ではなくただのつまらない動画に見えますけど、これが当時は全世界を唸らせる革新的な映像だったのです。

 

リュミエール兄弟の代表作は、『ラ・シオタ駅への列車の到着』(L’arrivée d’un train en gare de La Ciotat)です。

 

 

蒸気機関車に繋がれた列車が南仏の海沿いの町ラ・シオタの駅に入ってくるという50秒ほどの映画なんですが・・・

公開当時これを観たとき観客は、自分達の方に向かってくる実物大の列車を見て声を上げて席を立ち逃げまどったということです。

このエピソードこそ、今では当たり前となった映画というメディアの魔術的な迫力を証明するものであります。

今で言うと4DXとかMX4Dの演出に思わずのけ反るみたいな?

到着する列車のすぐ側にカメラを置いて撮っただけの単純なシーンなだけに、それだけの反応を引き起こしたセンセーショナルっぷりがダイレクトに伝わってきますし、そんな当時の観客の感覚をリアルに想像しながら観ると新鮮な気分になれます。

映画って本来リアルで臨場感に満ち満ちたものなんですよね。

その後リュミエール兄弟はあらゆるテーマで映画を撮り、ドキュメンタリーの元祖となりました。

 

一方、ジョルジュ・メリエス(Georges Méliès)はリュミエール兄弟と同じフランス人なのですが、“世界初の職業映画監督”(Cinemagician)と言われる、SFXの創始者であり、ファンタジー映画の発明者です。

映画の画面上で人が消える“人体消失”を始め、複数の画像を重ねて写しこむ多重露光(多重露出)やスローモーションなどの特殊撮影トリックを自ら開発し、1896年にはモントルイユに史上初の映画撮影スタジオを造り上げました。

メリエスの代表作『月世界旅行』(げつせかいりょこうと読むのですね。つきせかいと読んでました。)は、地球から弾丸型のロケットが発射され、月を訪問し探検するというお伽話的なストーリーです。

 

 

原作がジュール・ヴェルヌなので、SFアドベンチャーみたいな要素が強いんですね。

まぁなんかビジュアル的には人が沢山いるしごちゃごちゃバタバタしていてSFのわりには人間くさいというか人為的な手作り感のある映画です。

今の映画に比べると色々と説明過多な印象も受けますね(笑)

ロケットの突き刺さった月がしかめっ面をしたりするシーンは有名で、この写真が気持ち悪いとかトラウマとか言っている人も多いですが当時としてはとても遊び心があり、今の時代から見ても驚くようなアイデアに溢れた作品です。

人類の月面着陸よりも半世紀以上前に作られた映画ですので、月の世界に対する非常にイマジネーション豊かな幻想でいっぱいのあらすじだと思います。

この映画のカラーバージョンは長年行方不明となっていましたが、1993年に発見されデジタル修復作業が施されたのち、現代的な要素を加えるため、フランスのエレクトロニカバンドのエール(Air)にサウンドトラック制作を依頼しました。

エールの音楽が乗せられたカラーバージョンの月世界旅行は、2011年にカンヌ映画祭で披露され絶賛されました。

その後エールは、映画に合わせて作った16分の音楽からスタジオアルバムを1枚完成させました。

荘厳な雰囲気から始まって遊び心のあるメロディもあり、映画の魅力を現代的に表現しています。

 

 

その他にジョルジュ・メリエスを扱った作品としては、マーティン・スコセッシ(Martin Scorsese)監督による『ヒューゴの不思議な発明』(Hugo・2011年)があります。

 

 

1930年代のパリで、駅の時計台に住む孤児のヒューゴが、玩具店の主人ジョルジュと出会い、機械人形に秘められた壮大な秘密を巡り冒険に繰り出すというファンタジーアドベンチャーです。なかなかの人気作品なんですよね。

アメリカ映画っぽい雰囲気が強くて全然パリっぽさは感じないんですけど。

 

 

そういうわけで、20世紀初頭に天才メリエスがたった一人で現代に通じる映画の重要ジャンルとポイントを発見し開発してしまったのです。

メリエスは職能を分化した映画製作のシステムを確立し、荒唐無稽・奇想天外なコメディやファンタジーを量産しました。

“映画の父”と呼ばれるアメリカの映画監督DWグリフィスは、「映画のすべてはメリエスのおかげである」と語ったそうです。

 


 

 

月世界旅行   LE VOYAGE DANS LA LUNE

1902年 フランス 16分

監督 ジョルジュ・メリエス

キャスト

ジョルジュ・メリエス、ジュアンヌ・ダルシー

内容(あらすじ)

天文学学会に所属する天文学教授は、5人の学者と共に月への旅行を計画し実行に移すこととなる。地球から打ち上げられた砲弾に乗って月面に到着するが、そこにはそれまで見たこともないような光景が広がっていた。天文学者達は月の住民と遭遇してしまい、戦いが起こった挙げ句、月の王に生け捕りにされてしまう。