00年代カルト映画② ナポレオン・ダイナマイト (バス男) ジャミロクワイ

 

 

2013年、Yahoo!ニュースのトップに「史上最悪の邦題映画が改題」というようなタイトルが唐突に現れました。

私はそれを見ただけで、「あっアレのことだ」と直感しました。

記事を開けてみると案の定『バス男』のことが書いてあったのです。

そのくらいインパクトのある作品でありながら、邦題と中身が合っていない映画として有名だったのです。

 

“Napoleon Dynamite” est célèbre pour avoir un titre japonais qui ne correspond pas au contenu.

 

“Napoleon Dynamite” is famous for having a Japanese title that does not fit the content.

 



 

この映画『ナポレオン・ダイナマイト』(Napoleon Dynamite)は日本では劇場公開されず、『バス男』という邦題でDVDが出されました。

この『バス男』という邦題は、当時日本でブームとなっていた『電車男』をそのまんまもじったもののようですが、この映画では主人公がバス停にいたりバス通学するものの、バスは話の筋に関係ありませんし、モテない主人公がどうのこうのする恋愛の話でもありません。

つまり、電車男とは全く共通点のないストーリーなのです。

ただ、どうしようもなく冴えない高校生が馬鹿にされつつも友人達と協力し、学園内での目標実現を目指すという一応青春映画です。

馬鹿にされるいじめられるといってもそんな派手なのではありません。

映画が全体的に淡々としていて映画自体が冴えないんです。

そこがこの作品の魅力であり、秘かな人気の秘密である感じがします。

 

主人公のナポレオンは、バスで淡々と通学している非常に地味な高校生ですが、家族は更に変人で、引きこもりの兄はチャットに夢中、祖母は砂漠でバイク事故に遭い入院、アメフトチームに入れなかった恨みを持つ叔父のリコが保護者代わりに家にやってくるという始末です。

メキシコ移民の転校生ペドロの生徒会長立候補を女友達デビーと共に応援し、当選させようと必死になる様子が描かれています。

ここからしてなんともスケールの小さい映画を意図的に(?)作ろうとしたことがわかります。

製作費も400万円程度ですし。。

主人公の恋愛なんか一切描かれていません。

リア充とは正反対の世界に住む華のない日常を描いていますが、観ているうちにだんだんと惹きつけられる何かがあります。

誰にでも思い当たる恥ずかしさ、気まずさを感じさせるというか…

 

改題した時にDVDの発売元が謝罪までしたという逸話があるようですが、

ひょっとしたら『バス男』という邦題を付けた人は、ナポレオンが毎日バス通学している点のみに着目し、洒落のつもりでこの邦題を付け、特に電車男と内容的にも引っかけようとしたつもりはなかったのかもしれません。

しかし、「ナポレオン・ダイナマイト」といういかにも大物チックな響きの氏名こそが本人のイメージとの間にギャップを生み出しているという所がこの映画の魅力のひとつなので、やはりそこも考慮していませんでしたね。

この映画のスケールの小ささ、ダサさ、冴えなさ、間の抜けたテンポの悪さと抑揚のなさ、壮大で大物感溢れるタイトルとのギャップがまさしくカルト映画なのです。

ナポレオンを演じたジョン・ヘダー(Jon Heder)の外見を含めたなんともいえないリアルな役作りと、それを取り巻く脇役たちの地味ながらも味のある個性が見ものです。

素のジョン・ヘダーの容姿があまりにもナポレオンと違うので安心しました。

 

サントラは、アメリカの映画・テレビ音楽作曲家ジョン・スウィハート(John Swihar)が主に担当しています。

 

オープニングで流れるのは

ザ・ホワイト・ストライプス(The White Stripes )

ウィ・アー・ゴーイング・トゥ・ビー・フレンズ(We Are Going To Be Friends)です。

ザ・ホワイト・ストライプスは、1997年にアメリカで結成された姉弟バンドで、ザ・ストロークスと共にガレージロックリバイバルを代表するバンドとなっています。

どうりで70年代チックな匂いがすると思いました。

 

ナポレオンがペドロ達をダンスパーティーに誘い、デビーと踊るシーンで流れるのが80年代にデビューしたドイツのバンド、

アルファヴィル(Alphaville)

フォーエヴァー・ヤング(Forever Young )です。

恋愛映画のようなシチュエーションなのに全くそうではない場面です。

 

ダンス大会で女子達が踊る曲として、

バックストリートボーイズ(Backstreet Boys)

ラージャー・ザン・ライフ(Larger Than Life)

 

そして、カルト映画史上に残るシーンと言われる、ナポレオンのジャミロクワイダンスです。

Jamiroquaiキャンド・ヒート(Canned Heat)に合わせて一心不乱にダンスするナポレオンの姿はアメリカではネタとして散々真似されたそうです。

共感性羞恥みたいなのを感じさせると言われていました。

観ている人が誰も笑わないのが偉いと思います。

 

その他に、ラストの方でかかる

パトリック・ストリート(Patrick Street)

ミュージック・フォー・ア・ファウンド・ハーモニウム(Music for a Found Harmonium)

アイルランドのケルト系フォーク音楽グループです。

 

エンディングではウェン・イン・ローマ (When in Rome)

プロミス(The Promise)

80年代後半に活躍したマンチェスターのバンドですが、この曲を名曲として残しアルバム一枚で消えたようです。

 

この映画、日本版のやつはとにかくパッケージからものすごいナード臭というか、見てはいけないものを見てしまったようなジョン・ヘダーの姿に加え、「キターーーー(゜∀゜)ーーーー!!!!!」というコピーまで入っており、とにかく誤解される要素満載のビジュアルでしたが、本家版の方は映画の内容がきちんと表れているものですね。

そういった日米での一連のエピソードをひっくるめてカルト度が高い映画だと思います。

 


 

 

ナポレオン・ダイナマイト   NAPOLEON DYNAMITE

2004年 アメリカ 95分

監督 ジャレッド・ヘス

キャスト

ジョン・ヘダー(ナポレオン・ダイナマイト)、エフレン・ラミレス(ペドロ)、ジョン・グライス(リコ)、ティナ・マジョリーノ(デビー)

内容(あらすじ)

アイダホ州に住む高校生ナポレオン・ダイナマイトはルックスも中身もダサいため周りから馬鹿にされているが、ある日メキシコ人の転校生ペドロと友達になる。モテたいために生徒会長に立候補するというペドロを応援するためにナポレオンはあれこれ奔走する。